気管虚脱とは、本来の形状を維持できず呼吸する度に扁平になり呼吸が困難になる状態をいいます。犬の気管虚脱で最も多いのは7歳以降の小型犬です。ガチョウの鳴き声と呼ばれる独特の呼吸音でぜんそくに症状は似ています。獣医師に聞いた気管虚脱の症状、原因、予防・対策、治療などについて解説します。

気管虚脱とは

犬の気管虚脱は中齢~高齢以降の犬に発症し、特に小型犬で多くみられます。気管はホース状の管ですが形が簡単に変形しないように気管輪という軟骨が気管にあり支えています。しかし、肥満や老化などの原因で本来の形状を維持できなくなると呼吸時に扁平化し呼吸が荒くなり、咳こんだり呼吸困難になったりします。
気管虚脱は高齢の小型犬種で発生しやすいですが、とりわけ起こりやすい犬種は以下の通りです。まれにラブラドールなどの大型犬でも起こりますが、ほとんどが小型犬です。

気管虚脱になりやすい犬種

  • トイ・プードル
  • チワワ
  • ポメラニアン
  • ヨークシャ・テリア など

気管虚脱の症状って?

初期症状では軽く痰が絡んだような呼吸で、興奮時や運動後に起こる程度で日常生活には大きな影響がないことがほとんどです。
進行すると、咳こむ回数が多くなったり、散歩や興奮時に呼吸が荒くなり呼吸困難になることが多くなります。
さらに進行すると安静時でも呼吸が荒く、チアノーゼが出やすくなります。

気管虚脱の主な症状

  • ガチョウのような「ガーガー」と聞こえる呼吸音
  • 咳こむ
  • 咳の後に吐くこともあるが、多くの場合は胃液
  • 呼吸困難く
  • チアノーゼ

考えられる原因

気管虚脱は「肥満」「老化」「遺伝」「その他」に分類できます。

肥満の場合

肥満になると気管の周りにも脂肪がつきます。この脂肪が気管を圧迫し気管が変形する原因になる可能性があります。

老化の場合

老化に伴い気管や気管軟骨が弱くなることが原因になる可能性があります。

遺伝の場合

トイ犬種やミニチュア犬種に多いので、遺伝の可能性も示唆されています。

その他の場合

散歩のときにグイグイ引っ張る犬がいます。そのような子で首輪をしている場合は首輪が気管を圧迫するのが原因になることもあるといわれています。

気管虚脱にかからないための予防・対策

気管虚脱を予防するためには体重に気をつけましょう。肥満になると首の周りにも脂肪がつき周りから気管を圧迫します。特に、気管虚脱になりやすい犬種の場合はお気を付けください。
また、散歩のときにリードを引っ張り前のめりで歩く傾向がある犬はハーネスに変え、気管をいたわることが大切です。

気管虚脱にかかった場合の治療法や診療例

気管虚脱の治療は内科療法と外科療法があります。気管虚脱は気管自体の形が変わる病気なので、根治や完治が難しいです。そのため症状にあわせて治療を選択していきますが、内科療法の場合は鎮咳剤や気管支拡張剤などを投与します。
しかし、それではコントロールができず咳の症状がひどくなると外科手術が選択されることがあります。
手術の方法も様々あるので、詳しくはかかりつけの動物病院に相談してください。

<初診の場合の診療明細例>

項目数量金額
診察料(初診料)11,000円
検査代金(レントゲン)36,000円
内服薬(1週間分)13,000円
皮下注射12,000円
合計12,000円

病院によって違ってきますが、気管虚脱で通院すると以上のような治療費になります。初診の場合、原因特定のため多数の検査を行うことがあり、高額な治療費がかかることが多いです。
薬は通常、気管支拡張薬・鎮咳薬・抗生剤が処方されます。治療の内容にも異なりますが、1回の通院で数千円の治療費がかかります。

<手術の場合の診療明細例>

項目数量金額
診察料(再診料)1500円
注射代金12,000円
手術費用(入院込、約5日、ICU使用)1300,000円
血液検査など検査料金110,000円
内服薬(1週間分)13,000円
合計315,500円

こちらも病院によって差はありますが、手術の場合は以上のような高額治療費になります。通常数日の入院を行い、その後の通院加療が必要になります。また、程度や難易度によっても金額は変動します。気管虚脱の手術は高額になるので、通院・手術を重視したペット保険を考えておくことをおすすめします。

まとめ

気管虚脱は7歳以上の犬に多い疾患で、遺伝も関連しているといわれています。肥満も悪化原因になるので好発犬種を飼っている方は肥満にはくれぐれも注意してください。
一度気管虚脱を起こしたら元に戻らないことがほとんどです。健康に気を付けて定期的な健康診断を行い早期発見、早期治療を心がけていきましょう。ペットの診療は全額負担が基本です。手術になれば高額な治療費になり、日常的な診療でも検査等があれば負担になります。
ペットを迎えたら保険加入を検討してみるのも良いでしょう。

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