子宮蓄膿症とは、避妊手術を行っていない7歳以降の雌犬で発症する病気です。発情終了後2か月くらいの時期に起こりやすく発見が遅れると命にかかわります。獣医師に聞いた子宮蓄膿症の症状、原因、予防・対策、治療などについて解説します。

子宮蓄膿症とは

犬の子宮蓄膿症は中齢~高齢以降の避妊手術を行っていない雌犬に発症します。通常は子宮内に細菌感染が起こらないように防御されていますが、発情出血が起こると子宮に細菌感染が起こりやすい状態になります。その結果、子宮内に膿が溜まるようになります。発情終了後2か月くらいに起こりやすく、食欲不振・飲水量の増加・発熱・嘔吐などの症状を引き越します。

子宮蓄膿症になりやすい犬種

好発犬種はなく、あらゆる犬種で発症します。

子宮蓄膿症の症状って?

陰部から膿が排膿される場合もありますが、排膿されない場合もあります。排膿されない場合は子宮が腹腔内での破裂、敗血症をおこしてしまい亡くなる場合もあります。
発情後2か月前後で以下のような症状がみられるので、いつもと様子が違うときには早めに受診しましょう。

子宮蓄膿症の主な症状

  • 食欲不振
  • 元気消失
  • 飲水量の軽度~重度の増加
  • 陰部からの排膿(排膿しない閉鎖型もあります)
  • 腹部膨満
  • 嘔吐 など

考えられる原因

子宮蓄膿症は子宮内に膿が貯留する病気ですが、普段は子宮内に細菌が侵入しないように子宮と膣の間の子宮頚管部は固く閉ざされています。しかし、発情期になると子宮頚管部がゆるみ外部からの細菌感染が起こりやすくなります。原因になるのは「大腸菌」が多いですが、その他の細菌も原因になり得ます。犬の発情は1年に約2回起こりますが、この時期は抵抗力も下がるためにさらに感染の恐れが大きくなります。

子宮蓄膿症にかからないための予防・対策

子宮蓄膿症を予防するためには、避妊手術を行う必要があります。避妊手術は生後6か月になれば行うことができるので子宮蓄膿症や乳腺腫瘍を予防するためにも行う方がよいでしょう。避妊手術に賛否両論ありますが、子宮蓄膿症のような命に係わる病気の手術を非常にリスクの高い条件下で行う方が危険です。また、妊娠していないのに乳房がはったり、乳汁が出たり、タオルやぬいぐるみを子供に見立てて子育てと同様の行動をとったりする犬もいます。このような状態を偽妊娠と言い、偽妊娠を繰り返す犬も子宮蓄膿症になりやすいといわれていますので注意してください。

子宮蓄膿症にかかった場合の治療法や診療例

子宮蓄膿症の治療は基本的に卵巣子宮全摘出手術を行うことになります。よほど状態が悪く麻酔に耐えることが難しいと判断した場合は内科療法を行います。内科療法では抗生剤の投与を中心に行います。しかし内科療法の場合は再発や破裂を起こしてしまうこともあります。

<初診の場合の診療明細例>

項目数量金額
診察料(初診料)11,000円
検査代金(レントゲン)24,500円
検査代金(エコー)13,500円
血液検査(一般・生化学)112,000円
皮下点滴12,000円
皮下注射12,000円
合計25,000円

病院によって違ってきますが、初診時は様々な検査を行うため以上のような治療費になります。そのまま手術になるケースがほとんどですが、通院を選択された場合は内服薬代金などが追加になります。治療の内容にもよりますが、1回の通院で数千円の治療費がかかります。

<手術の場合の診療明細例(小型犬)>

項目数量金額
手術費用(手術・麻酔代金・静脈留置などを含む)140,000円
注射代金12,000円
入院費(3日入院・静脈点滴)315,000円
入院中投薬代金(点滴・注射 3日分)33,000円
内服薬(退院後7日分)13,000円
合計63,000円

病院によって差はありますが、手術の場合は以上のような治療費になります。通常数日の入院を行いますし、その後の通院加療が必要になります。また、体重や状態によって金額は変動します。場合によっては術前の血液検査が追加になることもあります。上記は小型犬の例ですので、中型犬・大型犬になればそれぞれ数万円の加算になります。万が一に備えて保険加入を考えておかれた方がよいでしょう。

まとめ

子宮蓄膿症は7歳以上の避妊していない雌犬でみられる疾患です。日ごろから発情の始まった日・終わった日を記録しておき、その2か月後位に飲水量の増加など気になる様子があれば早めに受診しましょう。また、子宮蓄膿症は避妊手術を行っている犬では100%起こらない疾患です。避妊手術にはメリットもデメリットもありますが、このような病気を防ぐことができます。ご家族で今後を踏まえて検討してあげてください。ペットたちの診療は保健適応にならず全額負担が基本です。手術になれば高額負担が発生し、日常的な診療でも検査等があれば高額になります。ペットをお迎えしたら保険加入を考えておくことも大切です。

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