腎不全とは、何らかの原因で腎臓の機能が低下し、老廃物の排泄や体内の電解質バランスに異常が起こってしまう病気です。腎臓はいったん悪くなると回復が難しい臓器で生涯治療を必要とします。獣医師に聞いた腎不全の症状、原因、予防・対策、治療などについて解説します。

腎不全

腎不全とは

犬の腎不全は「急性」「慢性」に分類されます。慢性の場合は加齢などが原因になり徐々に腎臓の機能が落ちて症状が現れるようになりますが、急性の場合は尿路閉塞や腎結石など急激に排泄ができなくなったり、腎臓への血液流入が急激に減ってしまったりした場合などに起こります。治療は生涯にわたり、点滴・投薬や処方食への変更を行います。

腎不全になりやすい犬種

  • 好発犬種はなく、あらゆる犬種で発症します。

腎不全の症状って

急性腎不全の場合は、急激に体調が悪化し食欲不振や嘔吐、元気消失が起こります。尿量が極端に減り、全く出ない場合もあります。このような状態が続くと尿毒症を起こし症状が現れてから短期間で亡くなることがあります。
慢性腎不全の場合は、加齢などが原因になり腎臓の3/4以上の機能が低下した状態で、症状が徐々に進行していきます。初期は無症状ですが、進行すると多飲多尿といった症状が現れます。さらに症状が進行すると食欲不振、嘔吐、体重減少などの症状が認められるようになります。末期になると尿毒症が起こり激しい嘔吐や下痢、けいれんなどの症状がみられるようになります。

腎不全の主な症状

  • 食欲不振
  • 元気消失
  • 飲水量の増加
  • 嘔吐
  • 脱水
  • 体重の減少
  • 貧血
  • けいれん など

考えられる原因

腎臓で血液がろ過され尿が作られ、この尿が尿管・膀胱・尿道を通り体外へ排泄されます。そのため、これらが原因の場合があります。
急性腎不全の原因は3つに分類できます。

  • 腎前性:心臓に問題があり血液の流れが悪くなったり、脱水によって血流量が減少したりした場合などに起こります。
  • 腎性:腎臓そのものに問題が起こった場合に起こります。
  • 腎後性:尿管・膀胱・尿道に問題がある場合です。結石や腫瘍などが原因として考えられます。

慢性腎不全の場合は様々な腎疾患によって腎臓のネフロンが少しずつ破壊されていくことが原因になります。

腎不全にかからないための予防・対策

腎不全を予防するためには、腎臓に負担がかからない食事を与えることが大切です。タンパク量が多すぎたり、塩分濃度が高い食事やおやつを多給したりすると少しずつ腎臓に負担がかかります。定期的に尿検査を受け比重やタンパクが尿中に出ていないかの確認や血液検査を受けるようにしましょう。

腎不全にかかった場合の治療法や診療例

腎不全の治療は「点滴」「投薬」「処方食」が基本です。症状が軽い場合は通院や投薬で経過観察になりますが、症状が重い場合は入院で治療を行います。全く尿が出ない場合は可能であれば人工透析を行う場合もありますが、透析可能な病院は限られます。処方食は低タンパク質、塩分調節されたものになりますが嗜好性が悪くなりがちなので食べないこともしばしばです。

<初診の場合の診療明細例>

項目数量金額
診察料(初診料)11,000円
検査代金(レントゲン)24,500円
検査代金(エコー)13,500円
血液検査(一般・生化学)112,000円
尿検査13,500円
皮下点滴12,000円
皮下注射12,000円
処方食(1㎏)12,500円
合計31,000円

病院によって違ってきますが、初診時は様々な検査を行うため以上のような治療費になります。症状が重い場合には入院加療になります。治療の内容にもよりますが、1回の通院で数千円の治療費がかかり、腎不全は治らない病気なので生涯治療が続きます。そのため、年間の治療費は莫大なものになることがほとんどです。

<入院の場合の診療明細例>

項目数量金額
入院費(7日入院、静脈点滴)738,500円
入院中投薬代金(注射 7日分)714,000円
静脈留置13,500円
血液検査(1日おきに4項目行ったとして)412,000円
処方食13,000円
尿検査414,000円
合計85,000円

病院によって差はありますが、入院の場合は以上のような治療費になります。退院後は定期的な通院が必要になるほか、体調が悪化した場合は入院で加療します。人工透析を行った場合は病院にもよりますが、1回あたり10万円前後は必要となります。治療は生涯続き高額請求になることがしばしばあるので万が一に備えて保険加入を考えておかれたほうがよいでしょう。

まとめ

腎不全は治らない病気です。いったんよくなったとしても治療を継続しなければ必ず悪化してしまいます。慢性腎不全は高齢になってから多く発症が見られますが、急性腎不全は年齢を問いません。排尿障害から起こることが最も多く、日ごろの排泄状態の観察が重要になります。初期症状がわかりにくいことがありますので、定期的に健康診断を行い早期発見早期治療が大切です。ペットたちの診療は保健適応にならず全額負担が基本です。腎不全は治療を継続し中ればならない病気なので医療費が生涯にわたって必要になります。万が一に備えてペットをお迎えしたら保険加入を考えておくことが大切です。

※このページに掲載している病気の特徴や治療方法等については、獣医師の監修を受けて作成しました。
しかし、実際にどのような治療を行うかは、ペットの状態・種類等はもちろん動物病院・獣医師によっても異なりますので、あくまで参考情報としてご利用ください。
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