ペット保険を知ろう

少額短期保険とは

 ペット保険を取り扱う保険会社をよく見てみると、その多くが少額短期保険会社であることが分かります。損害保険会社・生命保険会社は聞いたことがあるけれど、少額短期保険会社という単語は馴染みがない方も多いのでは。一体、少額短期保険会社とは何なのか?損害保険会社・生命保険会社のように、安定してしっかりと補償してくれるのでしょうか?ここでは少額短期保険会社について、その歴史や特長もふまえながら分かりやすく解説していきます。

少額短期保険が生まれた背景

 ペット保険はもともと、今のような「保険」という形でスタートしたわけでははありません。「ペット医療共済」という形で始まり、その後現在の「ペット保険」という形が生まれました。これらの「ペット医療共済」は「保険」ではなないため、当時は会社の運営などに当たっての規制や法律などもなく、自由に販売が行われていました。こうした、生命・損害の保険会社ではない会社が提供していた共済サービスおよびその運営会社を「無認可共済」と言います。これらの無認可共済はペット保険だけでなく様々な分野で運営されており、生命・損害の保険会社だけではカバーしきれない細分化された共済サービスを提供していました。が、自由度が高い半面、生保・損保のように法的な規制や監督官庁がないために、財務状況が不健全なまま運営されているもの、また、契約の内容が契約者等の保護に欠ける(契約者に不利な内容の)無認可共済等が存在しました。実際、「オレンジ共済事件」などの詐欺事件も発生しています。

オレンジ共済事件

 無認可共済のオレンジ共済が、1992年より「貯蓄型オレンジスーパー定期」という年間6~7パーセントの配当が行われると称した共済商品を販売したものの、その多くが選挙費用として流用され、共済組合員にはほとんど配当は支払われず、多大な損害をもたらした事件。
 当時、参議院議員であった友部達夫の政治団体が運営を行っていた共済団体で、約93億円もの資金を集めましたが、その共済金の多くが選挙費用や借金返済などに充てられ、正しい運用はなされていませんでした。このことが摘発され、1996年に同組合は倒産しました。

無認可共催への規制・新たな保険の創設

 そこで2006年4月、これまでの無認可の共済を規制し、契約者を保護するという目的で、無認可共済は法的に認められない形となりました。現在共済として法的に運営が可能なのは、元々、法律に基づいて設立され、監督官庁による認可を受けていたJA共済・全労連・CO=OP共済などのいわゆる「認可共済」と、一部の「特定の者を対象とする」共済だけです。一般から共済の募集をすると、「保険業法」違反となります。すなわち、これまでの無認可共済のほとんどが違法な共済事業となってしまうため、事業継続を行うならば、生命保険会社・損害保険会社に事業体系を変えなければなりませんでした。しかし生命保険会社・損害保険会社は許認可事業であり、多額の資本金も必要なため、中小の無認可共催にとっては現実的な選択肢ではありません。そこで、こうした規模の小さい無認可共済でも移行できる、新たな保険業が創設されました。これを「少額短期保険業」と言います。

特定の者を対象とする共済

 2006年の法改正により無認可共済はほとんどの保険業上違法なものとなりましたが、上でも述べているように「特定の者を対象とする共済」に関しては現在でも運営が可能です。これは、○○互助会会員などのある組織・団体の会員のみ加入可能など、その対象を限定することを指しています。ですので、その共済団体が運営する○○会に入会をさせて、その上で共済に加入するのであれば保険業法上は問題ない形となります。実際に、こうした形で運営をされているペット共済事業も存在します。ただし、こうした共済団体の中には保険ではなくあくまでも共済であるにもかかわらず「保険」と謡うなど紛らわしい組織もあります。
 損害保険会社・少額短期保険会社は保険業法が適用され、金融庁・財務局の監督が行われているため、不健全な運営は行われにくい環境にありますが、「特定の者を対象とする共済」に関しては現在も保険業法は適用されず、運営に関しては共済会社の自主性に任せられているという状態にあります。ペット共済に加入を検討する場合には、その会社の経営状態なども考慮した上で加入をすべきでしょう。

少額短期保険の内容とは

 少額短期保険は、その名の通り、取り扱う保険金額が「少額」(1,000万円以下)で「短期」(1年以内 ※第2分野は2年以内)の範囲内で業務を行うよう明確に規制されています。このような規制を設けることで経営状態の安定を図り、契約者の保護を図っています。
 また、損害保険・生命保険の場合は金融庁によって免許が与えられて運営可能となりますが、少額短期保険会社の場合は財務局へ登録するという形。最低資本金についても損害保険・生命保険であれば10億円は必要となりますが、少額短期保険の場合は最低資本金は1,000万円とされています。その他、少額短期保険は年間収受保険料が50億円以下までと定められているなどのさまざまな違いはありますが、取り扱える保険については金額(1,000万円以下)・期間(1年以内 ※第2分野は2年以内)以外は違いはありません。また、生命保険会社・損害保険会社は生損兼営禁止ですが、少額短期保険会社は生損兼営可です。
 特にペット保険の場合、保険契約期間は1年以内であり、保険金も1,000万円を超えるような高額な保険商品ではないため、少額短期保険としては親和性の高い保険であるといえます。実際、2016年6月現在、全13社あるペット保険会社のうち、損害保険会社は4社、少額短期保険会社は9社と、割合としても少額短期保険の方が高くなっています。

少額短期保険と損害保険・生命保険の違い
損害保険・生命保険 少額短期保険
最低資本金10億円 最低資本金1,000万円
年間収受保険料が50億円以下 年間収受保険料に制限なし
生損兼営禁止 生損兼営可

損害保険会社と少額短期保険の違い

 財務局に登録を行っている正式な保険会社といっても、損害保険会社のようには耳慣れないし、本当に大丈夫なのかと心配になる方もいらっしゃるでしょう。しかし上述の通り、保険商品としてはそもそも少額で期間も短いペット保険商品は、少額短期保険の内容でも十分カバーできるものではあります。では、そのほかの点で、少額短期保険と損害保険に大きな違いはないのでしょうか。
 少額短期保険と損害保険の最大の違いは損害保険契約者保護機構があるかどうかです。損害保険会社の場合は、損害保険契約者保護機構という法人団体に加入を行い、万が一経営破たんした場合、この損害保険契約者保護機構が契約者の保護を図る、とされています。すなわち、セーフティーネットがあるということです。しかし、少額短期保険の場合は、この損害保険契約者保護機構がありません。しかし、その代わり少額短期保険会社は、最低資本金とは別に、一定(前事業年度の正味収入保険料×5%+1000万円)以上の供託金を預けなければなりません。もし少額短期保険会社が破たんした場合には、契約者はこの供託金の中から保証をされることになります。
 こうしたセーフティーネットと供託金制度の違いが、損害保険会社と少額短期保険会社の大きな違いとなります。

まとめ

 法的な規制が全くない無認可共済が起こした様々なトラブルが、少額短期保険会社の生まれた背景にあります。現在は保険業法の順守と財務局の指導により、損害保険会社と生命保険会社のように少額短期保険会社も正しく運営が行われています。

タイプ別ランキング

ペット保険比較のステップ